【公務員の給与はこう決まる】人事院勧告と人事委員会勧告をわかりやすく解説!

公務員におけるライフハック(社会情勢、福利厚生、節約・節税、副収入・副業など) 新規採用職員へ
公務員におけるライフハック(社会情勢、福利厚生、節約・節税、副収入・副業など)

こんにちは、「公務員のライフハック」運営者のクロです。

今回は、公務員の「給与の決まり方」について解説します。
特に新規採用職員の方は、「給料はどうやって決まってるの?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。

実は、【国家公務員】【地方公務員】では、給与の決まり方に少し違いがあります。
その違いを中心に解説しつつ、公務員がおかれている経済的立場や、今後の備えの必要性についてもお話しします。


1. 【国家公務員】の給与は「人事院勧告」で決まる

国家公務員の給与を決める上で、給与決定において政治的影響を受けにくくするための「中立・公正な第三者機関」として「人事院」が設置されています。

毎年行う民間企業との給与比較調査をもとに、「人事院勧告」としてまとめられ、最終的には国会での法改正により決定されます。

注意するべき点として、「人事院勧告」自体には法的拘束力はありません
ただ、毎年の国会において尊重され、給与法などの改正に反映されるのが慣例です。
したがって、実質的に給与決定に大きな影響力を持っています。

人事院勧告は毎年8月頃に出されており、内容は給料やボーナスの増減の他に、福利厚生、職場環境の改善などについても触れられたりします。

ここで少し話がそれますが、
「給与比較調査の対象となる企業はどういう企業?」
と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

人事院ホームページに公表されている資料(抜粋)では以下のように説明されています。

引用:人事院|本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み

引用:人事院|本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み

つまり、調査対象となる企業は「企業規模50人以上」ということになります。

人事院の人事院勧告は、国家公務員を対象とした勧告です。
しかし、国の行政組織の規模は50人よりも圧倒的に大きいのにもかかわらず、比較対象の企業規模が小さいと疑問を感じた方もいるのではないでしょうか?

職員組合(労働組合)からは
「比較対象の企業規模を小さくし、給与を上げない口実にしているのでは?」
との声が上がっている現状です。


2. 【地方公務員】の給与は「人事委員会勧告」で決まる

一方、地方自治体においては、「人事委員会」が人事院と同様の調査を行い、「人事委員会勧告」として給与の見直し等について勧告が出され、最終的には議会での条例改正により決定されます。

一見、人事院が出す人事院勧告とは無関係のように感じます。
しかし、実際のところ人事委員会は人事院勧告の内容をとても参考にしています
そのため、人事委員会勧告もそれに沿った内容となる傾向が強く、「実質的に人事院勧告が基準になっている」といっても過言ではないでしょう。
下手に国家公務員よりも大きく賃上げしたり、手当を充実させてしまうと、国からの交付金を減らされてしまうこともあり得ますからね。


3. 勧告の背景には「労働組合の交渉」がある

人事院勧告の背景には、全国の公務員を代表する「自治労(全日本自治団体労働組合)」の交渉活動があります。
民間との賃金格差の是正や、物価上昇への対応など、さまざまな現場の公務員の意見や要望を人事院に伝え、働きかけています。

地方自治体においては、各自治体ごとに組織された「職員組合(労働組合)」が人事委員会に対して交渉・協議を行い、地元の実情や要望を反映しようと努めています。

このように、給与勧告は労働組合の活動と密接に結びついています


4. 勧告から給与への反映にはタイムラグがある

人事院及び人事委員会の勧告内容が反映さえれるには時間がかかります。
時系列で説明すると以下のような流れになります。

  • 4月時点の民間企業の給与内容等について人事院が調査
  • 8月頃に人事院勧告
  • 10月頃に人事委員会勧告
  • 12月頃の国会・議会にて法・条例の改正
  • 増額であれば4月分からの差額が支給(まれに差額を支給しない自治体もあるようです)

つまり、民間では4月にもらえていた給料の金額が、公務員では少なくとも12月以降に支給されることとなります。


5. インフレ時代、公務員は不利!?

最近の日本は「インフレ(物価上昇)」の傾向にあります。

しかし、先述したように、公務員の給与は「後追い」で調整されるため、インフレが進行していても、すぐに給与が上がるわけではありません

年度途中で食料品や日用品、電気代などの値上げしたとしても、公務員は給料が上がっていないため、家計を圧迫し、「実質的な生活水準」はどんどん下がってしまうということです。

この点で、公務員はインフレに対して非常に不利な立場にあります。


6. 今こそ“備え”が大切

公務員はインフレに対して非常に不利な立場であるため、

  • 節約
  • 節税
  • 副収入
  • 副業(許される範囲)

など、自分自身で生活を守る力がますます求められてきていると強く感じます。

「公務員なら一生安泰」という言葉を言われた人は多いのではないでしょうか。
実際に私もよく言われました。
その場では笑って流しますが、現実は違います。
給与はインフレに追いつかず、将来の年金水準も下がる見通しです。

「公務員だから安泰」というのは、もはや過去の常識にすぎません

これからは、公務員ならではのライフハックが必要です!


まとめ

  • 国家公務員は「人事院勧告」、地方公務員は「人事委員会勧告」
  • 給与は国会・議会での法・条例改正で決まる
  • 勧告の背景には労働組合(自治労や各職員組合)の交渉がある
  • 給与改定はタイムラグがある
  • インフレ下では公務員は不利
  • 節約・節税・副収入・副業が重要!

今後も公務員ならではのライフハックをお届けします!

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