【解説】公務員の労働組合である“職員団体”とは!?

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こんにちは、「公務員のライフハック」運営者のクロです。

今回は、公務員の労働組合「職員団体」のしくみについて解説します。

そもそも職員団体とは?
どういう活動をしているの?
自治労って何?

職員団体に関する疑問などをできるだけ簡潔にまとめました。

ぜひ最後までご覧ください!

過去の記事では、
職員団体・互助会・共済組合の違いや、
職員団体に加入するメリット・デメリットについて解説していますので、
こちらもご参考ください!

そもそも職員団体とは?

民間の会社には労働組合があり、使用者と労働条件などを交渉したりします。

それと同様に公務員にも労働組合があり、これを「職員団体」と呼びます。

職員団体の法令上の位置づけ

この職員団体については、地方公務員法第52条にて、次のように定められています。

  • 第五十二条 この法律において「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。

ちなみに、

法律上の名称は「職員団体」ですが、
都道府県や市区町村の職員団体では

「○○県職員労働組合」
「△△市職員労働組合」

などの名称となっていることが多いです。

この記事では、あえて「職員団体」と呼びます。

職員団体の労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)

職員団体と民間の労働組合の異なるところは、
労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)のうち、

  • 団結権(組合を作る権利)
  • 団体交渉権(使用者と交渉する権利)

は、認められていますが、

  • 団体行動権(ストライキ等)

は、公共の安定運営を守るために原則として制限・禁止されています。
(地方公務員法第37条)

つまり、公務員はストライキができません。

その代わりとして、
「人事院勧告制度」や「人事委員会勧告制度」が整備されており、
給与や勤務条件の調整が第三者機関を通じて行われます。

職員団体の組織体制

職員団体については、以下の3つのパターンがあります。

多くの職員団体は自治労に加盟しており、
私の加入している職員団体も自治労に加盟しているため、
今回は自治労に加盟している職員団体の組織体系について解説します。

自治労から職員団体(単組)までの組織

自治労に加盟している場合は、

自治労 → 県本部 → 職員団体(単位組合/単組)

という関係になっています。

自治労(全日本自治団体労働組合)

自治労とは、
全国の県庁、市役所、町村役場、一部事務組合などの
地方自治体で働く職員によって結成されている組織です。

行政のみでなく、
公社・事業団、自治体事業を受託している民間企業なども加盟しています。

日本全国各地の2,569単組、約74万人の組合員(2023年8月時点)が参加しています。

ここで働いている職員は、
自治労に加盟している単組から来た組合専従や自治労に雇われた職員です。

※組合専従※
 都道府県や市区町村で働いている公務員が長の許可を得て組合活動を行うために休職し、組合活動に専念している職員のこと。
(詳しくは、地方公務員法第55条の2

県本部

県本部とは、47都道府県に置かれた事務所のことです。

全国各地にある自治労加盟の単組の取りまとめなどをしています。

ここで働いている職員は、県本部内の単組からの組合専従や県本部で雇われた職員です。

職員団体(単位組合/単組) 

自治労に加盟する職員団体を単位組合(単組)といいます。

都道府県や市区町村の自治体ごとに結成されており、
職場環境の改善、交渉等を行っています。

自治体によっては、職員団体がないところもあります。

職員団体(単組)の組織体制について

組織体制については、
職員団体によって呼び方が違ったりなど異なる部分があると思いますが、
私の所属している職員団体では、以下のようなものがあります。

執行部

職員団体の活動を中心となって行う人たちです。
職員団体の方針や計画を立てる、集会や会議の運営をする、予算や会計の管理など。

役職は執行委員長、副執行委員長、書記長、書記次長、財政局長、執行委員などです。

書記局

職員団体を運営するための事務所です。

書記長を中心に、
職員団体の運営手続き、当局との連絡調整、会計処理など
を行っています。

ここで働いている職員は、組合専従や書記局で雇われた職員です。

支部

職場のある地域で分けられた組織です。
その地域での交流や、その地域ならでは課題の改善に向けた交渉などをしています。

分会

課や担当、学校ごとなど、職場で小さく分けられた組織です。
支部の活動のサポートとして、
交渉に向けた各職場の意見の取りまとめなどを行っています。

評議会

業務内容の種類で分けられた組織です。
それぞれの業務内容の現場や実情に応じた交渉や交流などを行っています。

種類は現業、税、社会福祉、衛生医療、研究、土木、職業訓練など。

青年部

組合員の若手職員で構成されている組織です。
若手ならではの意見を交渉で伝えたり、交流などを行っています。

年齢制限があり、職員団体によって異なりますが、
30~40歳までの職員としていることが多いです。

女性部

組合員の女性職員のみで構成されている組織です。
男女平等を中心に、女性ならではの意見を交渉で伝えたり、
交流などを行っています。

職員団体の活動(組合活動)について

職員団体の活動は「組合活動」と呼ばれています。

活動内容はさまざまですが、主に以下のようなものがあります。

定期大会

定期大会は、年に1回開催されます。

  • 一年間の活動報告や会計報告とその承認
  • 今後の活動方針や予算の決議
  • 執行部の選挙や承認 など

イメージとしては、国会や議会のようなものです。

中央委員会

中央委員会は、年に2回、定期大会と次の定期大会までの間に開催されます。

  • 活動や会計の途中経過広告
  • 活動方針の修正や再確認
  • その他の議決 など

次の定期大会までの中間報告みたいなものです。

職場実態調査

各職場の問題や課題などを調査します。

調査方法は、

  • 評議会や支部での意見交換
  • 組合員へのアンケート
  • 個別相談 など

この調査によって得た情報を、交渉時に伝えたりもします。

団体交渉・協議

団体交渉・協議とは、職場課題の改善等を目的として交渉等行うことです。

各種の課題について、権限を持っている相手に交渉します。

例えば、

人事課:給与、休暇、勤務条件、研修、人事評価 など
財政課:予算、新たな財源の確保 など
管財課:庁舎の維持管理、備品や公用車の更新 など

その他にも、
評議会や支部の要求内容に該当する担当課などとも
交渉したりします。

また、人事委員会に対しては、
人事委員会勧告に向けた協議や意見交換
を行ったりもします。

政治闘争

政治闘争とは、
要求や労働条件の改善を実現するために政治への働きかけや、
それに向けた活動などのことです。

私の所属する職員団体では、あまり行っておりませが、
自治労や県本部では、
選挙が近づくと集会の開催などが活発に行われています。

福利厚生

組合員の交流などのレクリエーションを行ったり、
福利制度の拡充を行ったりしています。

特にレクリエーションは、組合員全体を対象としたものから、
評議会や支部ごとに行われたりと、さまざまです。

共済制度(じちろう共済)

じちろう共済とは、
自治労(全日本自治団体労働組合)が運営する共済制度で、
公務員向けに設計された保険です。

職員団体では、このじちろう共済に関する手続きを、
書記局などで行っています。

じちろう共済については過去の記事で紹介していますので
こちらをご参考ください!

組合費の使われ方

組合員が納める組合費は、
一定割合を上部組織(自治労本部や県本部)に対し上納し、
残りは職員団体の活動費として使われます。

職員団体の活動費の具体例としては、

  • 定期大会や中央委員会等の運営費
  • 評議会や支部などの運営費
  • レクリエーションや福利厚生の経費
  • 書記局の職員の給料 など

職員団体と政治の関係

自治労は日本労働組合総連合会(連合)に加盟しており、
長年にわたり立憲民主党や社会民主党といった政党を応援してきました。

その背景もあり、
衆議院、参議院、都道府県や市区町村の議員の選挙があれば、
自治労や県本部が推薦する議員の応援をすることなどがあります。

これを聞いて
「公務員が特定の政治を応援していいの?」
と疑問思われたかも知れません。

この記事では詳しくは省略しますが、
公職選挙法が規制しているのは「選挙活動」であり、
「政治活動」は多少の制限はあれど原則として行うことができます。

ただ、職員団体としては近年の組合員離れもあり、
政治闘争については消極的なところが目立ちます。

まとめ

職員団体とは?
公務員版の労働組合。団結・交渉は可能だが、ストライキなどの団体行動は制限されている。

組織の構造
多くは自治労に加盟し、「単組 → 県本部 → 中央本部」の階層で運営されている。

職員団体の体制
執行部・書記局・支部・分会・評議会・青年部・女性部など、多様な組織が存在する。

主な活動内容
定期大会や中央委員会、職場実態調査、団体交渉、福利厚生、共済制度など幅広い。

組合費の使い道
活動運営費や福利厚生費に充てられるほか、一部は県本部や自治労本部に上納される。

政治との関係
自治労は連合に加盟し、立憲民主党や社会民主党を中心に支援している。

組織体制、活動内容などは、
職員団体によって異なる部分もあるかもしれません。
あくまで参考としてご活用ください。

今後の公務員生活の参考になれば幸いです。

以上、ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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